2014年1月7日火曜日

深読み日本語ラップ - Energy Drink / ANARCHY (DGKA)

<2014/01/07 追記しました。>

大島いづみです。
先日、ジャパニーズヒップホップ初級というエントリで紹介したANARCHYの
フリーダウンロードアルバムからこれは名曲だと思ったのを一曲。

 
http://www.anarchyjp.com/anarchy/pc.html

TITLE:DGKA (DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
 ARTIST:ANARCHY
 LABEL:R-RATED RECORDS/RRR-1018
 PRICE:フリー・ダウンロード
 RELEASE DATE:11月13日
 ダウンロード

TRACK LIST
 01. GANGSTAR (Pro. AVA1ANCE)
 02. SUPER BAD (Pro. KUT)
 03. FOR MY LADIES (Pro. KUT)

 04. ENERGY DRINK (Pro. AVA1ANCE)

 05. SCHOOL OF HARD KNOX feat. MACCHO & T.O.P. (Pro. BLAST OFF PRODUCTIONS)
 06. KONNICHIWA BITCHES feat. SMITH-CN & SIMON (Pro. AVA1ANCE)
 07. BANK TO BANK feat. KOHH (Pro. LEXI BANKS)
 08. MUCH LATER feat. L.E.P. BOGUS BOYS
 09. LOYALTY (Pro. STATIK SELEKTAH)
 10. KYOTO CHILLIN - RUFF NECK (Pro. BLAST OFF PRODUCTIONS)



  04. Energy Drink / ANARCHY


 

 これって多分、リキッド(ドラッグ)のこと歌った曲だと思うんだけど、やばいわこれ。
 すんげー病んでる。超病んでる。
 めっちゃ悲しくなる。

 人間の心の闇の深いところを無理矢理見せつけられてるみたいですげー怖い。

 全体を通してどこにも救いがなさすぎて心がガッサガサになる。
 これだけ明るい単語連発しててこんだけ終わってる感出せる表現力がすごい。

 かなり偏る私見ですが、特に気になったリリックの感想を深読みして書きます。


『高級料理よりドミノピザにコーラ』

 ピザなんてまんま "ジャンク" フード。1バース目としてはかなり気が利いてる。


 『だって俺ら団地育ちの不良やん』

 大人になってるのに、いつも心がそこに戻ってしまってる。
 自分は変わりたくても変われないと思ってるんだろうし、
 変えられない過去も自分のことも諦めてしまっている響きがある。


 『自分らしく生きる、着たい服着る、タトゥにグリル…』

 自分らしく、って一体なんなんだろうと考えさせられる。
 自分らしく、の部分には悪いことやドラッグをやめられない自分、
 というのも含まれてるように聴こえる。


 『世間の目なんてどうだっていい』『盛り上がるぞ友達と』『明日は何しよう』

 悲しすぎて聴いてらんねー。胸が痛くなる。3つとも完全に現実逃避している。


 『生きてること自慢しようトコナに』

 トコナってドラッグのオーバードーズで死んだって説があるんだけど、この歌詞は、
 「自分は "今は" まだ死んでないから自慢できる(ただし死の予感はある)」ように聴こえる。
 てかまず普通、死を意識しないと自分が生きてることを意識しないでしょ。


 『楽しむこともっと頑張ろう』

 楽しむことって頑張る(努力する)ことではないと思うんだけど、
これはつまり頑張らなきゃ何にも楽しくないと言ってる。
そして「頑張る」って肩に力が入ってるかぎり多分楽しくはなれないと思う。


 『だって遊ぶことも仕事なんだもん』

 ドラッグやってる罪悪感を払拭したくて言ってるみたいに聴こえる。


 『明日も楽しめること探そう』

 このままドラッグをやってても明日は楽しくない、楽しめないってわかってて
言ってるように聴こえる。

 これを言ったあと、そのままこの歌は終わってしまう。



 とにかく怖い。
 ここまで怖い曲聴いたの生まれて初めてかも。

 補足ですが、02.Super Badで『ドラッグ"飲んで"人間やめる』って言ってるな。

 ケースバイケースだけど、一般的にドラッグは『やる』もので、
 動作としてはまあ『吸う』のが多いよね。大麻にしろコカインにしろ覚せい剤にしろ。

 ANARCHYというアーティストにとっては
『ドラッグは”飲む”もんで、飲んだら人間として終わってる』ってはっきりとした自覚がある。
 自覚がありながらやめられないで現実逃避に耽溺している。

人間の感情の発露としてかなりすげー曲です。

結局アーティストって人生や生き方含めアーティストだよなあと思った。

ヤバイ曲です。是非!!

※注:本人が実際やってるかどうかは別問題なので誤解なきように。 

ANARCHY オフィシャルサイト
http://anarchyjp.com/


2014/01/07 追記:

この曲の本当にやばいところは『世間の目なんてどうだっていい』って言ったあとに 
『仲間が見てるから降参できん』って続くところなんですよ。
世間の目と仲間の目というのは地続きにある。
知らないやつからどう思われてもいいと言いつつ、仲間の目は気になる。結局他者からの目を気にしちゃってるんです。
降参したいけど、仲間の目を気にしてやめることができなくなっている。
世間の『やめろ』っていう目と、仲間からの『もっとやれ』って目。どっちが味方なのかな。

本当に奥深い曲です。よくできた物語を読んでいるよう。


DJ 威蔵さんがEnergyDrinkでビートジャグリングをしている動画を見つけた!

http://instagram.com/p/i0xfCnvqKX/

http://instagram.com/p/i0xfCnvqKX/

動画再生時間内に緻密に計算され尽くしたドラムパターンの8小節のビートジャグリングを
完璧に決め、最後に『素晴らしいよこのドリンク』に合わせてEnergyDrinkならぬ
ブランデーのカミュをかかげてます。
お前らドラッグじゃなくて酒を飲め~、ってメッセージかな。優しいお兄さんです!